日立旅に持っていきたい本:『常陸国風土記』で歩く古代と今

日立の旅に、『常陸国風土記』を連れていこう

旅に出るとき、あなたはどんな本をバッグに入れますか?
ガイドブックや地図もいいけれど、その土地の“昔の物語”を手にして歩くと、風景の見え方が少し変わってきます。

今回おすすめしたいのは、奈良時代に編まれた古代の地誌『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』。
現代の茨城県にあたる常陸の地について、地名の由来や神話、自然の情景を記した、いわば“古代の旅行記”です。


『常陸国風土記』とは

奈良時代、朝廷は全国の国々に「風土記」を編纂するよう命じました。
土地のようす、特産品、山や川の名の由来、そこにまつわる神話などを記録させたのです。

その多くは失われましたが、幸いにも常陸国のものはほぼ全体が残っています。
つまり『常陸国風土記』は、1300年前の茨城の姿をもっとも生き生きと伝える資料のひとつなのです。

たとえば、筑波山を男女神の物語として描き、久慈の地には恋文伝説を残し、そして人々の暮らしや祈りが淡々と綴られています。
それを読むと、今の風景の中に“古代の記憶”がうっすらと重なって見えるのです。


日立と『風土記』のつながりを探す

『常陸国風土記』には、「久慈郡」や「多珂郡」といった地名が登場します。
現在の日立市は、古代にはこの久慈郡の南端に位置していたとされます。

たとえば、久慈川にまつわる伝承や、神峰山・御岩山などの信仰の場には、風土記的な空気が今も漂っています。
“この山や川は、1300年前の人々にも見上げられ、語られてきたんだな”と想像すると、旅の時間が少し長く感じられるかもしれません。


旅のお供にするコツ

  • 電子書籍版やPDFをスマホに入れておくと便利。
  • 地図アプリと見比べながら、「このあたりが古代の○○郡かも」と想像する。
  • 現地で気になる地名を見つけたら、後から風土記で調べてみる。

旅先で『風土記』をめくると、そこに書かれた「山」や「川」の名前が今も息づいていることに気づきます。
観光スポットを巡るだけでは見えない“土地の記憶”を味わう旅になるでしょう。


日立で立ち寄りたい“風土記スポット”

  • 御岩神社 — 古代信仰の名残を感じる神域。神々が降り立ったと伝わる山です。
  • 神峰山公園 — 山上からの眺めと、地名の古さに注目。
  • 久慈川沿いの散策路 — かつての「久慈郡」の中心。風土記に登場する地名を思い浮かべながら歩きたい。
  • 日立市郷土博物館 — 地名・考古・神話の展示をチェック。

どれも、“ただ行くだけでは気づかない”古代とのつながりを感じさせてくれます。


旅のあとに読むと、もっと面白い

現地を歩いたあとで改めて風土記を開くと、そこに描かれた景色がまるで日記のように感じられます。
「ここを昔の人も見たのか」「この伝説はこの山のことかも」──そんな発見が旅を二度味わわせてくれます。

常陸の旅は、“読む旅”。
1300年前の物語をそっとポケットに忍ばせて、日立の町を歩いてみませんか。

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